昨日の朝刊の「楽問のススメ」で、景観・歴史文化環境整備室長を務めていらっしゃる茶谷晋太郎さんのインタビュー記事「景観まちづくり教育」が目に留まりました。2008年度から全国の小中学校で進められているこの教育(2025年度は14都道府県・61件の授業で実施)は、「『景観』を入口に、自分が住む地域に関心を持ち、主体的にまちづくりに参加してほしい」という思いから始まっているそうです。
その内容は、社会言語学の授業でも応用できそうな、社会との結びつきを感じながら楽しく学べるものでした。たとえば、グループごとに担当の「色」を決めて看板を探して歩き回り、色によって看板の数に違いがあることに気付くことで、それぞれの色の意味や役割を考える授業があります。ほかにも、校歌に出てくる場所を探して地図に落とし込んだり、スケッチをしたり、カルタを作ったりする取り組みも紹介されていました。カルタといえば、群馬の「上毛かるた」は県民の誰もが知っているものだと複数人から聞いたことがあり、羨ましくなるほどの強い連帯感(ソリダリティ)を感じたことを思い出します。
記事には、「自分の住んでいるまちは、その人から見れば『当たり前』の景色かもしれません。ですが、その景色は先人たちが紡いできた歴史の積み重ねであり、景観そのものに大きな価値があります」と書かれていました。
景観といえば「言語景観(Linguistic Landscape)」を連想したため、併せて江(2009)を読み直し、その定義をまとめておきたいと思います。
言語景観研究で扱う「言語景観」は、景観の下位概念にあたる都市景観の中の「書き言葉」を指すものが多く見られます。社会言語学者のLandry and Bourhis(1997)は、言語景観を道路標識、広告看板、地名表示、店名表示、官庁の標識などに含まれる「可視的な言語の総体」と定義しています(バックハウス, 2005)。
社会言語学において、言語景観は1990年代後半からの約10年間で大きく注目されるようになりました。日本においては、看板の文字体系(漢字やローマ字)の使用傾向と表記法の実態調査をはじめ、地域で目に留まる方言の研究や、東京都内における外国語表示などの「多言語景観」を対象とした研究が進められています。
p.s. 現在、新たなホームページを自力で格闘しながら構築中です。いいねボタンなどもつけてみたりしています。コメント欄は勇気がなく…。これまでの記事もそちらに移行できたらとも思うのですが、それはおいおい。とにかく夏休み中の一つの目標だったので、近日中の公開目指して進めます。
参考
バックハウス・ペーター. (2005). 日本の多言語景観. 真田信治・庄司博史(編), 辞典 日本の多言語社会 (pp. 53-56). 岩波書店.
江源. (2009). 言語景観研究の現状について. 明海日本語, (14), 67-75.
Landry, R., & Bourhis, R. Y. (1997). Linguistic landscape and ethnolinguistic vitality: An empirical study. Journal of Language and Social Psychology, 16(1), 23–49. https://doi.org/10.1177/0261927X97016001002
Keywords
言語景観