前回は、オーストラリアの地方メディアが直面する消滅の危機に対し、政府が歯止めをかけようとしている取り組みをご紹介しました。

アルバニージー首相は、健全な民主主義を維持するためにはジャーナリズムへの投資が不可欠だと訴えているそうです。新法案では企業の規模によって適用の対象を決めており、グーグル、メタ、ティックトック、そしてマイクロソフト傘下のリンクトインが対象となる見通しとのことでした。

グーグルは検索結果の一部に報道機関の記事リンクを利用し、メタも記事リンクを含む投稿を共有できるようにするなど、IT大手は自社サービスの充実のためにニュースコンテンツを活用しています。主な収入源は広告で、表示回数やクリック数に応じて広告主から費用を得る仕組みです。

問題なのは、報道機関が取材や人件費などのコストをかけてコンテンツを制作しているにもかかわらず、IT大手側がそれらを表示して広告収入を得ながら、正当な対価を支払っていない点にあります。表示を見たユーザーがそのまま報道機関のサイトにアクセスしてくれれば良いのですが、検索結果画面だけで内容が理解できてしまうため、わざわざサイトまで訪れないことが増えています。グーグル側は過去20年で数千億円規模の支援をジャーナリズムに行ってきたと説明していますが、不均衡は解消されていません。

さらにこの状況に拍車をかけているのが、AIによる要約表示です。利用者がAIの要約や回答に満足して元サイトを訪れなくなる「ゼロクリック」問題への懸念が深まっています。米調査会社ピュー・リサーチの調査では、AIオーバービュー(要約)を見た利用者のうち、引用元のサイトをクリックした人はわずか1%しかいなかったそうです。

それでは「AI検索に使われるのを拒否すればいいのでは」と思いますが、今の仕組みで拒否を設定すると、通常の検索結果における表示順位まで下がってしまうリスクがあり、報道機関側も拒否しづらいのが現状のようです。

ただ、イギリスではAI検索結果への引用を許可するかどうかをサイト側が選べる仕組みを、グーグルが試験的に始めたという動きもあります。

今後この問題がどう着地するのか、そして私たちの元に届くニュースの形がどう変化していくのか、非常に考えさせられる記事でした。


参考
https://www.asahi.com/articles/DA3S16525282.htmlhttps://www.asahi.com/articles/DA3S16525284.html

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